コモド島をめぐるアイランドホッピングには大抵シュノーケリングが付いています。
これは、マンタやウミガメ、広範囲に広がる美しいサンゴ礁など、魅力いっぱいのアクティビティなのですが、安全に行わないと事故につながりかねません。
シュノーケリングは事故に遭った場合の死亡率が決して低くなく、しかも油断しがちです。今回の記事では、コモド諸島の潮流の速さ、シュノーケルのスタイルや安全対策について触れてみたいと思います。
コモド諸島では気軽にシュノーケリングを楽しむことができて、巨大なマンタの群れをダイビングせずに観ることができて、コモド観光の大きな魅力のひとつになっています。
ところが、このマンタが多く目撃される“マンタポイント”というスポットは海流が速く、水深もあります。
そのため、決して初心者向けとは言えません。大人の方なら呼吸を整えて、シュノーケリングガイドのそばにいるようにすれば、さほど経験がなくとも満喫できますが、お子様の場合はそうはいきません。
コモド諸島の海流が速い理由は、太平洋とインド洋の間にあり、さらに島と島の間が狭いことにあります。太平洋はインド洋より水位が常に数十センチメートルほど高く、その差によって、海水が太平洋側からインド洋側へ流れています。これをインドネシア貫流といいます。
コモド諸島はその流れの通り道にあり、島同士の距離も近いため、広い海から流れてきた大量の海水が狭い場所に集まります。その結果、水の流れが一気に速くなり、場所によっては時速15キロメートルから20キロメートルほどの強い潮流になることがあります。海の表面だけを見ると穏やかに見えることもありますが、実際には水中で強い流れが起きている場合があります。そのため、コモド諸島で海に入る前には、海流の特徴をきちんと知っておくことが大切です。

ドリフトシュノーケリングというスタイル
コモド諸島でよく行われるシュノーケリングは、潮の流れに乗って移動するドリフトシュノーケリングです。流れに逆らって泳ぐのではなく、海水の流れに合わせて進む方法です。そのため、強く泳ぎ続けなくても、広い範囲のサンゴ礁や海底の様子を見ることができます。透明度の高い海水が常に流れ込むため、海の中は明るく見えやすく、マンタや回遊魚などの大きな生き物に出会えることもあります。
ただし、潮の流れを読み間違えると、予定していた場所から外れてしまうことがあります。そのため、ドリフトシュノーケリングは自分だけの判断で行わず、必ず現地の海をよく知るガイドと一緒に行う必要があります。

熟練ガイドに同行する必要性
コモド諸島でシュノーケリングをする場合は、経験のあるガイドに同行することがとても大切です。潮の向きや強さは時間によって変わり、安全に海へ入れる場所と注意が必要な場所も変わります。ガイドは、海に入る場所とボートで迎えに来る場所を事前に決め、流れの速さに合わせてボートの位置を調整します。
また、急に潮の流れが変わった場合でも、参加者がどこにいるかを確認しながら案内します。ボートと連絡が取れる体制や、流された場合に迎えに行ける準備があることで、安全にシュノーケリングを楽しむことができます。
コモド諸島を案内するラブアンバジョのガイドの中にはシュノーケリング資格を有するガイドがいますので、シュノーケリングスキルが初心者から中級レベルの方でしたら、そのようなプロガイドに同行してもらうのがおすすめです。

コモド近海のシュノーケリングの利点
コモド諸島の強い潮流は、海の中に栄養を含んだ海水を運んできます。そのため、サンゴが育ちやすく、魚も集まりやすい環境になっています。短い時間でも、多くの魚やサンゴを見ることができるのは、この海流があるためです。
また、流れに乗って移動することで、体力を使いすぎずに広い範囲を見ることができます。泳ぐことだけに集中するのではなく、海の中の景色を落ち着いて楽しみやすい点も、コモド諸島で楽しめるシュノーケリングの特徴です。
パニックにならずリラックスする
流れが速い海では、無理に逆らって泳がないことが大切です。強い流れに向かって泳ごうとすると、すぐに体力を使ってしまい、息が上がって焦りやすくなります。焦ると正しい判断がしにくくなり、危険につながることがあります。
流れを感じたときは、身体の力を抜き、呼吸を落ち着け、ガイドの指示に従うことが大切です。浮力を確保し、ボートから見つけやすい状態を保つことで、万が一のときにも安全に対応しやすくなります。

よくある事故例
コモド諸島周辺では、下降流と呼ばれる下向きの強い流れが発生することがあります。この流れに巻き込まれると、水面に戻りにくくなる危険があります。
また、潮に流された人がボートから見えにくくなり、長い時間海の上で漂流してしまうこともあります。さらに、強い流れの中で岩やサンゴをつかもうとして、手や指をけがすることもあります。こうした事故は、潮の読み違いや装備の不足、無理な行動によって起こりやすくなります。そのため、事前の確認とガイドの指示を守ることがとても重要です。
そして、もっともこわいのはパニックです。シュノーケリングによる死亡事故の多くが、パニックによるものだと考えられており、特に水を飲み込んだ際になどに多く発生しているという推計があります。

安全対策と留意点(超重要)
安全に楽しむためには、海に入る前の確認が欠かせません。まず、自分の泳力や足のサイズに合ったフィンを正しく着け、ガイドから海に入る場所と出る場所の説明を受けておくことが大切です。
仲間やボートとはぐれた場合にどうするかを事前に共有し、今の潮の状態と、この後の変化も確認してから海に入ります。体調が悪いときや不安が強いときは、無理をせず参加を控える判断も必要です。
そして、単独行動を絶対にとらない、ガイドのそばにいるようにする(できれば、近くでシュノーケリングさせてほしいとお願いしておく。大物が来たときに教えてもらえるというメリットもあります)。少し流されたと思ったら、立ち止まってそこまで来てもらうと良いでしょう。
さらにもっとも大事なことは、パニックにならないことです。器材がずれたり、水の飲み込んだりした場合には一旦水面に顔を出し、周囲を確認し、調整する。それを繰り返すことでパニックにならずに済みます。何も問題ないとしても時々休み、水面でひと息つくというのが安全な方法です。
それから、盲点になっている点に、ボートの船外機の部分に近づかないというものがあります。流れがありますので、ふとした拍子にボートのそばに近づいてしまうことがありますが、船尾の船外機部分は非常に危険ですので、戻るとき以外はボートに近づかないようにしましょう。

まとめ
コモド諸島の海は、太平洋とインド洋をつなぐ流れと、島々が密集した地形によって、透明度が高く生き物の多い海になっています。一方で、潮の流れが速く、場所や時間によっては危険が大きくなる海でもあります。
安全にシュノーケリングを楽しむためには、海流の特徴を理解し、適切な装備を使い、経験のあるガイドの案内に従うことが大切です。無理をせず、自然条件に合わせて行動することが、コモド諸島の海を安心して楽しむための基本です。安全第一に考え、無理をせず、パニックにならず、落ち着いて美しい海や海洋生物の観賞を満喫しましょう。


